Hewlett-Packard HP-29C

 ビジコン社に端を発した4004、8080や8085マイクロプロセッサーが出てきた頃、大型計算機と呼ばれるシステムでIBMカードにFORTRANを打ち込んでは天体位置計算や人工衛星軌道計算をしていたが、チョットした計算には取り回しが一々大変で、かと云って関数電卓然とした電子式卓上計算機(電卓)はタイプライターの如きの大きさの時代だった。そんな中、測定器で名をはせていたHewlett Packard社や数々のロジックICを製造していたTexas Instruments社の関数電卓は手のひらサイズの優れものだった。計算精度で十進数34桁を謳っていたHP-29Cを手にして、せっせと計算にいそしんでいたものである。

 HP社の関数電卓は逆ポーランド記法(Reverse Polish Notation、RPN)を採用していて、数値や演算ボタンの押し方が全く異なっている。8080マイクロプロセッサー等のメモリーと演算装置(CPU)の概念に近い、数値を一旦スタックして後から演算するRPN方式がとても馴染みやすく、以後現在に到るまで関数電卓はRPN法にこだわってきた。

123 + 456 = 579 を計算してみよう。


@ [1][2][3]と順にボタンを押す

A [ENTER]ボタンを押す
 

B [4][5][6]と順にボタンを押す

C [+]ボタンを押す


 RPN法についてはネット上の先達の方々による多くの解説が見受けられるのでそちらを参照頂きたい。ところでである。スマートホン時代に突入した今、驚く事にエミュレータアプリによりスマホがかつてのHPのRPN電卓と化すのである。

 「RPN電卓」で探すと見つかり様々有る中「go25C」にはマイッタ。「2001年宇宙の旅」の「HAL」を連想させる様な絶妙なネーミング、「go」シリーズはHP-25C以外のエミュレータは有料(go29Cも有料、残念)の様だが、何と素晴らしい方々の多い事か。早速インストール、日常のツールと化している。

 なお、RPN電卓はソヴィエトでも造られていたとの事で、「MK61/54」なるAndroidアプリも有る様である。

HP-29C and Emulator

 首都圏の日照が極端に少なかった年、HP社から一般向けのルート付き電卓が販売されていたことを知った。4〜5年前には秋葉原で200円で売られていたという、信じられないような紹介ページも見かけた。ボタンはまさにHP電卓、これは手に入れずにはいられない。幸いフリーマーケットに出品してくれていたのを見つけて早速入手。液晶のセグメントが薄くなっている桁もあったが、バラしてフレキケーブルと液晶電極との接着面を注意深くシコシコとこすって接触改善を試みたら無事正常表示となった。日本で投げ売り状態だったとは云え、この風格たるやまさにHP。家計簿用の常用としている。

HP EasyCalc 100
HP EasyCalc 100


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