ウキフネ
浮舟

 諸國遊歴の僧が初瀬から上洛の途中、宇治に來ると宇治川を柴船に棹さして來た一人の女に逢う。この里には昔何という人が住んで居たのかと訊ねると、女は、源氏物語にある浮舟の君の事を委しく物語った後、私は大比叡の麓小野の里の者ですから、都のつてに訪ねて下さいと言って消え失せる。
 そこで、この旅僧が小野に行って回向していると、浮舟の靈が現れ、世を儚んで身を投げようとした時に、物の怪に取り憑かれ正気を失っていたのを、横川の僧都に助けられた昔の事を物語り、今あなたの供養を受けて兜率天に生まれる事が出来たと喜びを述べて消え失せる。

曲柄:四番目(略三番目)
季節:不定
等級:三級




 
 

 
   
   

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