ツネマサ
經正

 琵琶の名手であり少年の頃から寵愛していた、平經正が一ノ谷の源平合戦で討たれた事を哀れに思った仁和寺の宮は、經正が生前預けた「青山」という琵琶の名器を仏前に供え、管絃講(音楽法要)を催して回向する様僧都行慶に命じる。
 仰せを受けた僧都行慶は人々を集めて法事を行うが、その夜更けに經正の幽霊が現れ陽炎の如く消え消えになりながら、御弔いの有難さにここまで参ったのであると僧都に声をかける。
 さらに手向けられた琵琶を懐かしんで弾き夜遊の舞を舞って興じるが、やがて修羅道での苦しみにおそわれ、憤怒の思いに戦う自分の姿を恥じ、灯火を吹き消して闇の中へと消え失せる。

曲柄:二番目
季節:九月
等級:五級



 
 

  
  
 

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