トオボク
東北
東国より都に上って東北院に詣でた旅僧が、花盛りの一本の梅の木を眺めていると里女が現れ、この梅は和泉式部が植え「軒端の梅」と名付けいつも眺めていたという由緒や、寺の方丈は式部の寝所であった事、花も主を慕って毎年色香も増して咲き匂うと語り、自分が梅の木の主であることを告げ、夕闇の花の陰に消え失せる。
僧が花の主の冥福を祈り読経をしながら花の陰で夜を明かしていると、和泉式部の霊が在りし日の高貴な上臈姿で現れ、その昔関白藤原道長がこの門前を通り車の中で法華経を高らかに誦んだので、「門の外法の車の音聞けば我も火宅を出でにけるかな」と和歌を読んだ事などを語る。
さらに和歌の徳や東北院が霊地である事などを語り、色よりも香のすぐれた梅花になぞらえて幽玄の舞を見せ、方丈の室に入ると見えた所で僧の夢は覚める。
曲柄:三番目
季節:正月
等級:四級
素
謡
座
席
順
ワ
シ
キ
テ
ワ
ワ
後
前
キ
シ
シ
ツ
キ
テ
テ
レ
従
旅
和
里
泉
式
僧
僧
部
女
・
二
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三
人
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