タツタ
龍田

 大和の龍田明~に参る爲に、廻國の僧が龍田川を渡ろうとすると、一人の女が來て、「龍田川紅葉亂れて流るめり渡らば錦中や絶えなん」という古歌を引いて、心無く渡り給うなととめるので、今は紅葉の頃も過ぎ、薄氷の張る時節ではないかと言うと、「龍田川紅葉を閉づる薄氷渡らばそれも中や絶えなん」ともあるから、紅葉の頃には限らないでせうと答へ、私は~巫ですからと言って僧を案内して明~に參詣させ、紅葉が當社の~木である謂はれを語り、更に宮廻りに誘った後、實はこの~の龍田姫であると名乗って、社殿の中に姿を消した。
 そこで僧が、~前に通夜をして奇特を待ってゐると、~殿鳴動して龍田の~が現れ給ひ、瀧祭の~徳を述べ、紅葉の美を賞し、且つ~楽を奏してから昇天する。

曲柄:四番目
季節:十一月
等級:三級

 「龍田川は紅葉の散り敷き乱れ流れています。あなたが無粋にもこの川を渡ればこの錦の帯が途中で切れてしまいます。」龍田川には薄氷が張っている。透明な氷に閉じ込められた紅葉の葉。龍田姫は扇を胸指しして龍田川の幻想的な薄氷と紅葉の色彩の供宴に見入り舞台を大きく回る。散る紅葉は神に捧げる幣。吹き乱れ、また吹き乱れる紅葉の中、華麗に~舞いを舞い、~は天上世界へと昇天して行く。



 
 

 
   
    
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