タマノヰ
玉井

 彦火々出見尊は、兄の釣針を借りて釣をしたが針を魚に取られてしまい、剣をくずして作った代りの針では兄の許しがないので、海中へ尋ねに行く。海の都に着いて、門前の銀色に輝く玉の井の傍にある桂の木に登って様子を覗うと、豊玉姫と玉依姫が水汲みに來て、井の底に映る男の姿を見て驚く。そこで尊が名乗り、針を尋ねに來たという次第を話すと、姉妹は尊を海の宮へ請じ入れて歓待する。
 かくして、尊は三年を過ごしたが、愈々歸ろうとする時に、二人の姫は潮滿潮涸の珠を尊に捧げ、父の海~は釣針を探し出して奉り、舞樂を奏してその行を盛んにしたが、やがて尊を鰐に乗せて送り再び龍宮に歸る。

曲柄:初能(一番目)
季節:不定
等級:三級


 尊が地上に戻るが、物語は「和布刈」へと続く。古代の異民族婚姻説話が美化されたもの。
 彦火々出見尊は天照大神から第四代目で、豊玉姫はその妻。両者の間に生まれたのが鵜鴿草葺不合命で神武天皇の父。妹の玉依姫は鵜鴿草葺不合命の妻となる。



 
   
 

 
     
      
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