ネザメ
寝覺

 延喜の御代に、信濃國木曾郡寝覺の床の三帰り翁が寿命めでたき薬を与えると聞いて、勅使が立つ。
 勅使が寝覺の床に來ると老若二人の樵夫に逢う。二人に翁の住居を訊ねると、この翁は住所が定まっていないが、夜はこの寝覺の床に來て寝るので軈て來るでしょうと答える。なお寝覺の床の謂われを聞くと、三歸りの翁は生所も知らず出所もなく、寝覺の床二千歳を送る中、寿命めでたき薬を服し三度若やぐ故三歸りの翁と名づくと言う。その後で、実は自分がその三歸りの翁であると告げ、再び現れて御藥を君に捧げましょうと約束して消え失せる。
 そして、天女が天降り舞う中に三歸りの翁が姿を現して舞楽を奏していると、川波から二龍が現れ、かの仙藥を翁に渡し、翁はそれを勅使に與え木曽の桟をうち渡り立ち去る。二龍はなお残って東西に飛行し戯れているうちに、明け方となり勅使の夢は覺める。

曲柄:初番目
季節:三月
等級:二級



 
 

 
      
       
      
使~  
    
    
    
      
      

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