ミヰデラ
三井寺

 人買にさらわれて行方不明になった我が子に再び会える様、清水寺に参籠し祈願している千満丸の母は、ある夜霊夢のお告げにより江州三井寺に向かう。
 三井寺では、ちょうど八月十五日の名月なので住僧たちは講堂の前庭にでて月見を行っている。
 その中に、住職を頼って来た幼い人も混じっている。
 一方千満の母は物狂の風体となり、ようやくにして三井寺に着く。
 能力が撞いた鐘の音を聞いた母が自分も撞こうとするが、住僧が止めるので中国の聖人が月に心乱れ鐘をついた故事を述べて鐘を撞く。
 稚児は住僧にたのんで狂女の故郷をたずねると、清見が関の者と答えて初めて別れた母と判る。
 母も稚児が千満と判って互に名乗り合い、うれしさに狂気も直り母子は手をとりあって故郷に帰り、富貴の身となる。

曲柄:四番目
季節:八月
等級:二級



 
   
   
 

  
   
   
    
     
 
 
 
  
  
    

Return