コカヂ
小鍛治

 夢で名工三條小鍛冶宗近に御劔を打たせよとのお告げを受けた一條院は、橘道成を勅使として宗近へ遣わして御劔を打つ様命じる。
 宗近は突然の宣旨に驚き、御劔を打ち奉るには自分に劣らぬ力量の相槌を打つ者が必要だが適当な者が居ないので辞退しようとする。しかし帝のご霊夢によるものゆえ必ず仕れとの命令に進退窮まり、この上は~力を頼るしかないと氏~である稲荷明~へ祈願のため参詣する。
 すると宗近の前に一人の童子が現れ、不思議にもすでに勅命を知っており、君の御恵みによって御劔は必ず成就すると言つて安心させる。更に和漢(和漢朗詠集)に於ける劔の威徳や故事を述べ、~通力によって力を貸与えることを約束して稲荷山へ消えて行く。
 そこで宗近は帰宅し、不浄を隔てる注連縄を張った壇をしつらえて上り壇の四方に祀った本尊に祝詞を捧げると、稲荷明~が現れ相槌となって御劔を打ち、表に小鍛冶宗近、裏に小狐の天下第一の二つの銘の御劔が打ち上がる。そして稲荷明~は御劔を勅使に捧げ、再び稲荷山に帰っていく。

曲柄:五番目(略初番目)
季節:不定
等級:五級



 
  
  
 

    
     
  
  
使 ~

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