キクジドオ
菊慈童

 れつ縣山の麓から霊水が流れ出るというので、その源を尋ねてくる様勅命を受けた中国魏国の文帝の臣下が山に辿り着くと、菊の花が咲き乱れる山中の庵に一人の慈童が現れる。
 人里離れた山中にいるこの慈童を不思議に思い尋ねると、「周の穆王に仕えていた慈童である」と答える。
 勅使は七百年前の人がどうして今まで生きているのかと驚くと、慈童は「穆王に仕えていたが誤って王の枕をまたいでしまい、その罰でこの山に遠流される事になった。哀れに思った王から餞別としてその枕に二句の偈(げ:仏の徳を讃えた詞)を書き添えて賜った。よもやその偈を忘れまいとその詞を菊の葉に写すと、葉の露が霊薬となり、それを飲んでいたため七百年も生き長らえた」と答える。
 やがて慈童は舞を舞い、菊水の流れを汲んで勧め、自身も飲むうちに酔って菊の花を枕にして臥したりするが、七百年の寿命を帝に捧げ、やがて菊の花をかき分けて山中の庵へと帰って行く。

曲柄:四番目(略初番目)
季節:九月
等級:五級



 
 

  
  
   
   
使
  
  
  

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