カヅラキ
葛城

 出羽国羽黒山の山伏が葛城山に峰入りをし降りしきる雪に困っていると、一人の女が現れ谷陰の庵に山伏を連れて行き、もてなす。
 明け方、山伏が「後夜の勤行」を始めようとすると、女は自分には三熱の苦しみがあるから加持祈祷をして助けてもらいたいと頼む。
 不審に思った山伏が詳しい話を求めると、女は昔、岩橋を架けなかった咎めとして明王の縛めを受けている葛城の神であると正体を明かし、冴え冴えと輝く月になおも己の容姿を恥じながら夜明け前にと岩戸に消え失せる。

曲柄:四番目(略三番目)
季節:十一月
等級:三級

 葛城の神はその昔、修験道開祖たる役の行者(えんのぎょうじゃ)から葛城山から大峰までの岩橋をかける様命じられたが、容貌が醜い事を恥じて夜しか作業せず、成就出来なかった。
 怒った行者は、神を不動明王の索にかけて蔦葛で呪縛してしまうが、物語はその後幾星霜過ぎ去ってからの場面となる。



 
 

 
   
    
   
   

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