カヨイコマチ
通小町

 八瀬の山里で夏の修行をしている僧の元へ、毎日木の実や薪を持って来る女がいるので名を問うと、女は「おのが名を小野とは言はじ薄生ひたる市原野辺に住む姥ぞ」と言い、回向を乞い消え失せる。
 女の言葉に小町の幽霊と察した僧が市原野に行って供養していると、経文に引かれて女が再び現れ受戒を乞う。
 すると、四位の少将(深草少将)が現れ一人だけ受戒などさせまいと、「私をただひとり取り残すのか」と言って女を引き留め成仏を妨げる。
 僧は小町と少将の亡霊であることを知り、「百夜通いの様子を示されよ」と罪障懺悔を勧める。
 少将の亡霊は小町の偽りを信じて、晴れている時でさえ「身ひとりに降る涙の雨か」という想いで通った、「百夜通い」の様子を物語る。
 そして、百夜目の祝いの酒をも小町の諭しで飲酒戒を守ろうと思い直した仏の教えが一瞬よぎる事により、少将は悟りに導かれ両人ともに成仏する。

曲柄:四番目(略二番目)
季節:九月
等級:二級



 
 

   
   
  
 
  
  
  
  

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