ハジトミ
半蔀

 一夏安居の修行も終りに近づいたある日、紫野雲林院の僧が夏の草花を取り集めて立花供養を行っていると、たそがれの薄明りの中から一人の女が来て白い花を供える。花の名を訊ねると、夕顔の花と答え、女の素性を訊ねると、昔五条辺りに住んでいた者と答え花の陰に消え失せる。
 女の言葉にひかれて僧が五條へ赴くと、荒れ果てた一軒の家に夕顔の花が咲いている。僧が源氏物語の昔を偲んでいると、半蔀を押し上げて上謁の姿をした女が現れ、咲いていた夕顔の花がその媒となって源氏の君がこの家で夕顔上と契りを結んだ時の様子を語り舞を舞う。雉の音に夜が明ける前にと再ぴ半蔀の内に入ったのを見て僧の夢は醒める。

曲柄:三番目
季節:九月
等級:三級



 
 

 
   
  
 

Return