フジタイコ
富士太鼓

 萩原院の時代に宮廷で管弦が催される事になり、天王寺の浅間という太鼓上手が太鼓役として召されるが、さらに住吉の富士という太鼓上手が太鼓の役を志願する。
 浅間は富士が自分に対抗する態度を憎んで、宿所に押し寄せ討ってしまう。
 富士の妻は夫を見送った後の夢見が悪いので気にかかり娘と共に都に上り夫を捜すが、管弦の役人から浅間に殺された事を告げられ、これを見て慰めよと形見の鳥兜と衣装を渡される。
 妻は形見の鳥兜と衣装を纏い舞楽の大太鼓を前にすると、夫が非業の最期を遂げたのは太鼓故と心乱れ、大太鼓が仇の姿に見えて散々に太鼓を打つ。
 やがて本当に仇を討った様な安堵と満足感に満たされ、心は元の女に帰り舞装束を脱いで別れを告げ、なおも太鼓に恨みを残しながらも帰って行く。

曲柄:四番目(略三番目)
季節:九月
等級:三級



 
 

   
   
 
 

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