ダイブツクヨオ
大佛供養

 平家方の猛将悪七兵衛景清は平家没落後都に上って忍んでいたが、南都で大佛供養が行われると聞き、自分も奈良若草山に隠れ住む母に対面しようと忍び忍びに奈良へ急ぎ母親を訪ねる。
 母は喜び迎えた後で頼朝を狙っている噂は真かと尋ね、景清は包まずその決心を語り、平家の武士の中で最も重んぜられていたのが今は隠れ忍びながら暮らしているのを嘆く。
 母は景清の本心を聞いて嘆き悲しみ、景清は千万無量の思いを胸に今生の別れを告げて立ち去る。
 頼朝が家来大勢を連れて供養の場に臨むと、景清は宮人の姿に変装して近付こうとしたが、装束の脇から鎧の金物が光ったのを怪しまれ、終に頼朝の家来に囲まれる。
 景清は逃げては武士の恥と、名乗りをあげて名刀あざ丸を抜いて大勢の中へ割って入り、向かう者を斬り伏せるが、今はこれ迄とあざ丸をさし翳して霧立つ茂みに身を隠して遁れ去る。

曲柄:四、五番目(略二番目)
季節:九月
等級:五級



 
    
    
    
    
    
 

 
     
      
  
  
  
    
     
     
     
     

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