アラシヤマ
嵐山

 嵐山の花の頃、嵯峨帝に仕える臣下が勅命を受けて桜の咲き具合を見に來て眺めていると、老人夫婦が現れて花の木蔭を清め、花に向って渇仰する。勅使がその謂れを聞くと、老人夫婦は、この千本の桜は吉野から移されたものだから、木守・勝手の二神が時折現れて守護する神木であり、嵐という名だが花を散らさないのだと語る。やがて自分たち夫婦が實はその二~であると告げ、夜まで是非待つようにと言い、吉野山の方に飛び去る。
 その夜、子守・勝手の二~が現れて~樂を奏し、さらに吉野山の鎭守である蔵王權現の末社の神も來現して、衆生の苦患を助け国土を守ると誓いながら花に戯れ、梢に翔り榮ゆく春の長閑さを見せて歸る。

曲柄:一番目
季節:三月
等級:四級

 「それにしても、花が嫌う嵐を、なぜに名につけて嵐山としたのでしょうね。」「いいえ、それこそが神の御心。有名な花であるからこそ、嵐の山にも咲き誇るのだという不思議をお示しになっているのです。」[16]



 
   
 

 
    
     
     
     
     
       
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