アオイノウエ
葵上


 光源氏の正妻、左大臣家の息女葵上が物の怪に悩まされ病の床に臥せっている。その物の怪の本性を知る為に、照日の巫女を呼び梓にかけさせると、破れ車に乗った六條御息所の生靈が現れ出で源氏の愛を失った怨みを述べ、葵上に祟りをなそうとするので、巫女はその心を飜させんと努める。然し怨靈の嫉妬心は益々募って葵上を連れて行こうとする。
 そこで、大急ぎで横川の小聖を呼び迎えて加持させると、怨靈は鬼女の姿に變わり猶も葵上に祟ろうとするが、終に行者に祈り伏せられ心を和らげ成佛得脱の身となる。

曲柄:四番目
季節:不定
等級:一級

 その昔、皇太子妃として栄華を誇った六條御息所。夫に先立たれた今は年下の光源氏の愛人の一人に過ぎない。年上ゆえ源氏への微妙に屈曲した感情に加え葵上懐妊で源氏の足は遠のく。その折も折、源氏の姿を見ようと出かけた葵祭で葵上一行により車を打ち壊されてしまう。その屈辱感は耐え難く、その魂は知らずに体を抜け出し葵上に取り憑き、やがて激昂し臥せている葵上を激しく打ち据え葵上一行により壊された破れ車に乗せこの世から連れ去ろうとする。


 
   
   
 

   
   
    
  
  
   
   
   
   

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