OLYMPUS PEN-FT

OLYMPUS PEN-FT
PEN-FT(発売当時購入、手放した後中古再入手)

 何と言ってもフルシンクロロータリーシャッターを始めとする、後にも先にもこれしかない独創性の固まり。[1][6]

 交換レンズを購入出来なかったので、標準のみで写しまくった。一般的な横フレーム構図で撮る時には、カメラを縦に構える必要がある。

 最近中古再入手したものは、レンズが痛んでおり、分解カビ取りに挑戦したが、レンズ間のものは機材無しでどうしても拭き取れず、同じ標準38mmF1.8をネット注文で米国から取り寄せた経緯がある。格安品で、落としたと見られる凹みがあり、結局本体付属のカビレンズと二個一とした。空色や緑色の発色に独特なものがあると感じている。(参考写真 1)

 PEN-FTに続くOMシリーズのボディはライカとサイズが酷似し、ボディケースはバルナック型ライカと同等、容量はM型ライカに近い[1]と言われるが、設計者米谷氏が幼少の頃からのライカ使い(Vf)であった事と深い関係があると思われる。しかし私は、PEN-FTの方がよりライカをイメージしている様に思えてならない。ライカUフェイクのZorkiとの比較は以下の通り。

ライカU(もどき)とFTの比較

 別掲 LEICA FAKE (ZORKI) で紹介しているが、Zorki に付いてきた Industar 22 レンズの写りがとても気に入り、「ペンF-ライカスクリュー」マウントアダプターの製作を画策していた。マウントアダプターを製作すべく改造素材用マウントを入手することはや数年経過した日食騒動の年、ネット上で「オリンパスペンF - Lマウントヘキサー50mmF3.5のアダプター」なる物を見かけた。プラスチックの一体成形物であるが、これまで考えていた改造の手間もなさそうで早速手に入れてみた。

PEN-FT with Induster 22
インダスター 22 をマウントした PEN-FT

 絞りやピントは完全に手動で、感が頼りの世界に突入。絞りはPEN-FTのメーターが0を指示する辺りが適正露出となるので何とかなるが、ピントは沈胴を前後する合わせ技を併用しつつフォーカシングスクリーン上で視認する必要があり、結構楽しめる。

 肝心の写りであるが、先の参考写真 1 で紹介した ZUIKO 38mm/F1.8 の空色や緑色の独特な淡い発色に対して、思っていたよりこってりと色が乗った発色である(参考写真 2)。白黒時代のクラシックレンズとはいえ、なかなか侮れない趣のある描写と感じている次第。


[1]往年のオリンパスカメラ図鑑、マニュアルカメラ編集部編、株式会社竢o版社、笊カ庫
[2]カメラと戦争(光学技術者達の挑戦)、小倉磐夫著、朝日新聞社、朝日文庫
[3]使うオリンパスOM、赤城耕一著、株式会社双葉社、クラシックカメラ Mini Book 11
[4]アサヒカメラ「ニューフェース診断室」オリンパスの軌跡、朝日新聞社
[5]使うハーフサイズカメラ、飯田鉄著、株式会社双葉社、クラシックカメラ Mini Book 4
[6]時を超えるカメラ、松本賢、株式会社竢o版社、笊カ庫
私と同年代の筆者は、中学時代の恋人「PEN-F」と30年ぶりの再会を果たし、自身によるレストア後日々デートを重ねておられる。PEN-FTへの想いを募らせる人が他にも居る、と書店で見かけた時には感激してしまった。レストアを始めつきあい方やPEN-Fによる写真満載のまさにPEN-F指南書。

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