VICTOR XL-MX1
ジャンク入手
集会所用のPAアンプ整備時に手に入れてアンプのみ再利用していた、エッジボロボロの SONY pixy ミニコンポのスピーカー、エッジを貼り替えてスタンバイしていた。全国的に40℃超え、我が地方でも連日35℃超えの猛暑の日々の年、いよいよ鳴らしてみたい気持ちが湧いてきた。駆動アンプはCDプレーヤーとアンプが一体となったコンパクトな形態が良さそうと物色中に、なにやら独創的な出で立ちのミニコンポを目にした。アンプの排熱をファンではなく、これまで目にした事が無いシステムでおこなっているらしい。[1]

資料[2]によると、どうやら超低域スピーカーとも言わんばかりの駆動ダイヤフラムでの送風らしい。ヒートシンク下部にパワーユニットと称するシステムが仕込まれていて、パワーユニット内のコイルがマグネット付きダイヤフラムをうちわの如くに震わせて上部ヒートシンクへ送風する仕組みとある。ダイヤフラムは50℃から120℃間の設定温度毎に10Hz〜16Hzで振動し、120℃〜150℃ではスピーカーをリレーでカットオフ、150℃以上では電源断とある[2]。1970年代後半頃は宇宙開発の印象が色濃いヒートパイプを各社盛んにアンプへ採用していた。その後はコスト面からかクーリングファン方式が多く見受けられた。このダイヤフラムによるうちわ方式は、設定温度毎に細かな制御を行う回路も含めて、他とは一線を画する気合いの入った方式と思われる。

加えて、pixy シリーズと同意匠のイコライザのダイナミックディスプレイも妙に懐かしい。
CDプレーヤー部の不調は、ピックアップのレーザーパワー微調とゴムベルト交換でCD再生までこぎ着けた。ピックアップ部はビクター機によく見かけられるOPTIMAシリーズの様だが、ピックアップモジュールのトラッキング移動用駆動方式が特徴的。

ほぼ整備が終わりに近づいた頃、偶然にも行きつけのジャンクやさんで専用スピーカーを見かけ、入手。ボロボロのエッジを貼り替えてスタンバイしていた pixy セットのスピーカー試聴はあえなく後日回しとなった。

数日通電再生後に試聴すると、サイズを感じないワイドレンジで開放感のある再生音を奏でている。

しばらくジャンク弄り中に流し聴きしていた所、突然左スピーカーからの再生音が途切れたりし始めた。CD再生不調でもなさそうだしと、本体スピーカー出力端子周辺を叩いて見ると音が出たり出なかったり。これはスピーカープロテクションリレーの接触不良と直感、リレー端子を磨いてしのごうとバラしてみると、小型密閉型リレーが2個、取り外しては見たものの密閉型故リレー接触端子にたどり着ける代物ではなかった。この年代のこのサイズのアンプで密閉型、しかもサービスマニュアル型番で調べると窒素ガス封入で製造終了とある。いやはやと思いつつ手を尽くして型番同等品を見つけ出し入手、無事交換。

その後専用リモコンを見つけて入手、ホクホクとした心持ちで使ってみるとリモコン操作でボリュームが動かない事が判明。手動で音量調整は出来るので、ボリューム単体の不調ではなく、リモコン操作時のモーター駆動機構の問題と判断、バラしてなんとか駆動機構部にたどり着けた。リモコン操作時にモーターへ電圧が印加され正負も反転する様なので回路は正常作動と思われ、グリースの経年固化による固着と判断。気を取り直してモーター駆動部をバラして車用のパーツクリーナーで固化グリースを洗浄、新しいグリースを塗布しながら再組み立て後に駆動部のみで作動を確認、本体へ組み付けた。これでめでたくリモコン操作も快適となった。
またまたそれにしてもである。ビクターと云えばDA変換で試聴を繰り返しお気に入りのK2システム、ターンテーブル調速ストロボスコープが組み込まれているレコードプレーヤー、カセットテープ時代には KD-2 生録で大いにお世話になった DOLBY-B 互換の ANRS システム、マイクロコンポ時代に入ってからはウッドコーンに力を入れている様に見受けられるなど、唯一無二の独自路線を歩んでいるのだなとの印象。
[1]Victor MEZZO カタログ
[2]JVC CA-MX1BK サービスマニュアル
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