SL-5


SL-5
Technics SL-5

 前述 A-N902 で「PHONO入力付きモデルを常用する事になり、そろそろレコードプレーヤの準備を始めたい。」とし、先達の皆さんの創意工夫を参考[1][2]に早晩アーム動かずの SL-5 を5コインで入手、アーム駆動用ベルトや電解コンデンサ類を調達していたが仕事や家庭事情もありそのまま6年が過ぎ去っていた。

 この間、巷ではレコードが注目されつつあると耳にする事が多くなった。行きつけの中古屋さんにも数十年前に目にしていた高級ダイレクトドライブターンテーブルがジャンク品として陳列されている事が多く、目にする度にその時代へタイムトリップしていた。

 北国でも初めて36℃との数値を目にした夏も終わり、映画「終わった人」を観ては自身の状況と重ね合わせて納得したりしつつ忙しい日々を過ごしていたが、いよいよ時間に余裕が出てきた。6年前入手品を先達の方々の解説通り分解してアーム駆動用ベルトを交換、固まったグリースを除去して車の整備などで使用している少し硬めのグリースを塗布、機構系は損傷無しと思われたのでまずは電源投入後に作動チェック、異常がないと思われたので事前準備の電解コンデンサ類はまたまたストックとした。続いてゴシゴシ洗浄、ボタンのメッキ部分の点錆を自転車用ラストリムーバーで磨き、ケースのクリアー部分の擦り傷はそれこそふた昔にならんとするチューブ入りのCD音源面クリーナーを付けてゴシゴシゴシゴシ、ほとんど目立たなくなり一人ほくそ笑む。しかし、ケース上面塗装傷は残念ながら如何ともしがたい。いつものPLATINA社シルバー色ペイントマーカーでも今ひとつしっくりこない。このまま100均デザインシート貼りで隠すかとも思案したが、色が似ている以前の所有車用スプレーペイントでの全塗装を試みるも、仕上がりに納得できずじまい。結局100均デザインシートの出番となり、前掲の写真と相成った次第。

Rotation Speed Alignment of Turn Table
ターンテーブル回転スピード調整

 レコード全盛のベルト駆動でターンテーブルを回していた時代、ターンテーブル回転速度調整は頻繁に行う必要があった。当時はストロボスコープ盤をターンテーブルへセットして専用照明で照らすか、ターンテーブルのストロボスコープ部分を組み込みネオン管の薄明かりか室内照明で電灯周波数へ同期する様微調整していた。その後水晶発振によるダイレクトドライブの台頭で、ターンテーブルの回転速度は頓着する必要がなくなったのであるが、製造後40年弱とならんとするSL-5、回転速度は調整しておきたい。ここでもイヤハヤの世界である。先達の方々の創意工夫[3]のなんと素晴らしい事か。そういえば、我が家の部屋の照明はほとんどLED化しているが、移行時に蛍光灯照明器具のナツメ球を100均LEDへ交換したりしていた事を思い出した次第。安定化していない(電源交流明滅タイプ)LEDナツメ球が良いという事で、早速部品箱から捨てずに保管していた100均LEDナツメ球やケーブルを取り出し、ソケットを追加購入して工作。更にストロボスコープ盤も先達の方[4]のデザインを厚紙印刷して丸く切り抜いたものとした。SL-5のターンテーブル速度調整は、筐体下面の調整穴からドライバーで半固定抵抗を調節する仕組み。試すとほんの少しずれていた。


Cleaning of a Record Disk
レコード洗浄

 試聴すべく物置から探し出したレコードは、盤面にカビが生えていた。自前の紙レーベル面保護型レコード洗浄機を用意しておられる先達の方々もおられるが、レーベルはふやけてもやむなしと、机の上で盤面へ愛用品のガラスマイペットを吹きつけ歯ブラシでレコード溝に沿ってブラシング、結構洗浄液が濁ってきたのを確認後拭き取って水道水洗い、乾燥後には試しに衣類の静電気防止剤をスプレー。このスプレー、思った以上に薬剤が盤面に残る事が判り慌てて固く水絞りした100均マイクロファイバータオルで拭き取った。
 さすがにレコードが見直されているらしく、レコード盤収納袋がAmazonで手に入る。カビカビ盤収納袋は捨てて、入手した物と交換。

 カートリッジ(カートリッジ:Technics P-24 交換針:EPS-24CS)は入手品そのままで試してみるが、さすがにカンチレバーのダンパー部分が劣化している様な音である。いつものゴム復活剤を試して数日経過を見るも変化なく、針の交換が必要となった。松下は当時T4P型カートリッジ(Pマウント)を提唱していた模様で、EPS-24CS交換針は現在も入手可能、特に日本精機宝石工業(JICO)製は良質との情報もあったが高価、一方米国などでは製造プロセスが良く判らない低価格品が出回っており、e-bay経由で入手。更に聴き比べ用カートリッジを探すと、Audio Technica AT 3482 P P-Mount Moving Magnet Cartridge と云うものが目に止まった。ドイツ在庫で英国郵便発送とある。Audio Technica と云えば半世紀にもならんとする昔、別掲 Lenco L85 プレーヤを弄っていた頃よく見かけた VM型である。その昔は手を出せないでいたが、まだ手に入るんだと思わず入手。OEMを含めたVM型の中古品でカンチレバーが真っ黒の物がありサビサビかと思っていたところ、一部カーボンファイバー製のカンチレバーがあるとの情報[5]があり納得、入手した AT3482 もーボンファイバー製カンチレバーである。
 さて試聴であるが、残念ながら常用メインシステムにはまだ繋げるチャンスがなく、今の所リビングのバックグラウンドとTV用サブ機である。従ってRIAAイコライザが必要となり、ヘッドフォンアンプ一体型が無いものか、なければ自作かと探す事しばし。ドンピシャなものが「MM/MC RIAA フォノ ステージ ターンテーブル プリアンプ ヘッドホンアンプ ビニールプリアンプ」として見つかった。しかもMM/MC両用。大好きな中華製とおぼしきもので早速入手。設計思想及びデザインとも求めていたそのものでよくぞ造ってくれたと大満足。針を交換したSL-5オリジナルカートリッジではやはり線が細くて低域側も不足気味。価格帯から云ってもやむなしである。AT3482へ交換後はふくよかな低域から良く伸びる高域まで心地良く聴かせてくれる。常用である。詳細は後日のメインシステムでの試聴としたい。


悦楽の思い

 さてレコードとCDである。「DA変換の悦楽」で様々なDA変換方式の試聴を繰り返してきたが、DA変換をともなうCDの音質は造り込む考え方で様々な変化をともなうと感じていた。これまでのDA変換試聴を経てレコードはパチパチ音やカートリッジによる音の変化は避けられないにしろ、CDよりもっと高域がすなおで伸びやか、かつ低域が芳醇ではなかったかとの思いが募っていた。今回のレコードプレーヤーを機にほぼ半世紀ぶりにレコードの試聴となる訳だが、サブ機での試聴はその印象に違わない。
 既に所有しているCD盤に併せて、今回同じタイトルのレコードを準備している。メイン機での試聴ではここ数年の思いを検証したい。

 その後町内会向けPA組み付けやサイエンスワークショップ教材用のかなりの数のラジオ修理再生などのためしばらく遠のいていたが、リニアム型トゥイーター機弄りを経てメイン機での比較にこぎ着けた。フォノ端子付A-N902(HEX-MOSFET)へCDはPD-N902 (LEGATO)、レコードはSL-5(AT3482)による試聴である。スピーカーは切り替え器を用意した事もあり、LS-J9(KENWOOD)とLM-011(SANSUI)を併用。

 レコードは「高域がすなおで伸びやか、かつ低域が芳醇ではなかったか」との思いに加え、ボーカルの歌い出しの瞬間や終わって息継ぎする瞬間に明かな差があると感じられる。CDでは歌い出しが唐突、息継ぎに入る時はストンと無音になる印象となった。再生系ではプリアンプ以前の違いはレコード側にRIAA補正回路が入るので、この時定数的なものが歌い出しや息継ぎ時の過渡的なレベル変化を加味しているのかも知れない。音源としてはどちらが現実を再現しているのかは判らないが、当方の好みとしてはレコードによる再生となる。

 その後、先達の人達の考えはどうかと調べると、ディジタル音源にレコード再生時の特性を加味する「バイナルプロセッサー」[6]の存在を知った。加味する特性は
 @トーンアームの低域共振(トーンアーム・レゾナンス)
 A微小なサーフェスノイズと、スクラッチノイズ
 Bレコード盤の共振
なのだそうで、いずれも聴感的には有益なのだそうだ。これはディジタル系音源にレコード再生系の周波数特性を被せていると考えられ、一種の伝達関数の類いと思われる。まだ試聴できていないが、確かにレコード再生音が生み出されると思われる。


[1]SL-5修理 その1、http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Asagao/9725/Audio-Visual/Repair-Room/Repair-SL5/SL5Repair-001.html
[2]Technics SL-5、http://bluess.cocolog-nifty.com/labo/2012/04/technics-sl-5.html
[3]ストロボスコープ発光器はLEDナツメ球でOK!、http://oyaide-blog.blogspot.com/2011/09/ledok.html
[4]回転数表記が正確なストロボスコープを作ってみました。、http://www.fidelix.jp/others/STROBOSCOPE.html
[5]オーディオテクニカ AT3482P T4Pカートリッジ、https://blog.goo.ne.jp/hentaimiyake/e/42920f56bd40f066c56e53198836ed0e
[6]アナログレコード特有の音響効果をデジタルで再現音の豊かさや広がりを感じる「バイナルプロセッサー」 、https://www.sony.jp/feature/products/vinyl/?s_pid=jp_top_201810_feature_vinyl_feajrny_waljrny

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