iriver H10
iriver H10
謡の稽古には40年近くカセットテープを利用してきた。お手本となる先生の謡い方の特定箇所を繰り返し再生したり、目的の再生位置へ一気に早送りしたい時に、テープ位置を見ながら操作できて使い勝手が良いのである。
一方、我が家のオーディオ機材でもすっかりカセットテープは姿を消し、現在ではお稽古小型カセットプレーヤとお手本テープダビング専用ツインドライブのカセットデッキのみとなっている。
これまでmp3プレーヤーは、mp3黎明期から国産有名どころのものはもちろんのこと、ワンコインのアジアンなものなど沢山手に入れては弄り回し、mp3変換もエンコーダーはLAMEが良いと聞いては色々なバージョンを組み合わせたりもしてきた。最近はi-Pod等のメジャーな製品が寡占してダウンロード販売が定着するにつれ気分が遠のいていた。それにしてもWALKMAN、初期段階でmp3コピーフリー化していれば昨今の苦戦状況には至らなかったのにと、残念な思いが募っている。専用ツール経由でないとファイルを保存出来ない使い勝手の悪さにはヘキヘキだった。
そうした中で、お稽古カセットテープをmp3化してmp3プレーヤーで聞くのが良いのではないか、そのためには早送りや早戻し、出来れば稽古小型カセットプレーヤ並に本体付属マイク録音が出来るものが良いと云うことになった。
探すと初期のHDD携帯音楽プレーヤーに iriver H10 と云うモデルがあり、付属ケーブルなどが付いて7コインのものがやって来た。届いた物は、システムの一部の作動がおかしいとの注意書きと新しい電池や沢山の曲のオマケ付きで、譲ってくれた方に感謝である。早速ゴシゴシ作戦後、LCDのカバーパネルが静電汚れで薄暗い感じも有り、本体を分解、LCDカバーを入念に清掃すると、すっきり綺麗な表示となった。
再生すること無くしばし弄った後、iriver社の最終版ファームウェアーを目にして入れ換えてみた。その後わくわく感一杯で初めての再生を試みるも、再生しない・・・、ファームのバージョンアップ失敗か。落ち込むこと数日、色々調べていると、「Rockbox」なるmp3プレーヤー用サードパーティファームウェアの存在を知った。名だたるmp3プレーヤーへインストール可能(http://build.rockbox.org/)な様である。国産では Toshiba Gigabeat も対応済みとなっており、趣味でリバースエンジニアリングしつつ、様々なモデルへ日々作り込んでいる人達がいることに驚いてしまった次第。デザインや使い勝手も、メーカーオリジナルを凌いでいると感じ、早速ダメ元で試すことに。インストールもネット接続さえ確保されていればとても簡単なものだった。
Rockbox Logo, www.rockbox.org
「Rockbox」の更に驚いたことは、プラグインの概念である。スマホのウィジェット的小粒なアプリで、ゲームやら計算機やら、簡易テキストエディタまで造り込んであり、mp3プレーヤーをあたかも超小型パソコンのOS的に機能させる事が出来る、そんなプラグインである。当方のお気に入りは、「VUメータ」である。別掲「KD-2 カセットデンスケ」で親しみ、最近郷愁を感じてVUメータの自作でもしようかと考えていた所へ、このプラグインとご対面。しばし眺めて感無量の境地。各チャンネル共ピーク表示もしっかりシミュレーションされている。どこまでマニアックな人達なのだろう、いやはやである。作者へ感謝感謝。
もちろん当初目的のお稽古カセットプレーヤ的な録再も良好である。
[1]Rockbox is a free replacement firmware for digital music players.、http://www.rockbox.org/
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