DP-SE7 / DP-SG7


DP-SE7&SG7
KENWOOD DP-SE7 / DP-SG7

 4台で約5コイン弱で手に入れた、CDを読み込まなかったり電源が入らないと云うジャンクCDプレーヤの中に、KENWOOD の D.R.I.V.E. と 24bit Fine D.R.I.V.E. の文字が入ったものが混じっていた。DP-SE7 と DP-SG7 である。

 D.R.I.V.E. はディジタルからアナログへの変換(DA変換)時に発生するパルス性ノイズによりマスクされやすい微小レベル領域の再現性改善を目指し、微小レベル時に高ビット化する事で微小レベル時の信号を滑らかにするシステム[21]である。これは早速試聴せねばと動作状況をチェックすると、DP-SE7 及び DP-SG7 共々ACコードをコンセントに差すも表示が点灯しない。後ろの光ディジタル出力は赤く点灯しているので、ある程度までは電源が動作しているらしい。ネット情報による基板割れ対応でジャンパー線を半田付けしたりしたが状況は変わらない。半ば諦めかけていた一週間後、ネット上のDP-SE7修理情報の中にCD駆動機構部から分岐取得しているCD制御プロセッサ系統の電源障害でプレーヤ全体の電源が入らなくなる故障事例があった。修理箇所は該当電源系統の電解コンデンサの交換である。電源電圧を測定してみると、確かに電源スイッチを押した時に該当箇所の電圧が変動する。早速 DP-SE7 及び DP-SG7 共々電解コンデンサを交換すると電源が入る様になった。両者共内部構造や心臓部のCDピックアップは全く同じで、異なるとすればDA変換チップぐらいではないかと思われる。

DC Power Repair
交換した電解コンデンサ

 その後、DP-SE7 が CD を挿入しても no disc 表示と言う事で、4台約5コイン弱のジャンクCDプレーヤの中で部品取りとした1台から取り出したCDピックアップと交換。今回の4台のジャンクCDプレーヤは、メーカーは2社だったものの偶然にもCDピックアップは同じものだった。

Pickup parts replace
CDピックアップ交換

 さて、D.R.I.V.E. の試聴であるが、最近よく持ち出している Everything Must Change のJAZZボーカルCDと常用リファレンスバイオリン曲CDとした。そもそも DP-SE7 と DP-SG7 はミニコンポ用のCDプレーヤなので、格が違う DP-1001 や PD-N901 と比較する事自体酷とは思われるが、目的がDA変換の個性を味わう事にあるので容赦願いたい。試聴した両機は D.R.I.V.E. なので Supreme D.R.I.V.E. と異なり高域補償を行わず、微小レベル時に高ビット化するだけである。 D.R.I.V.E. の DP-SE7 は楽器の線が太く緻密さに欠ける印象であるが、バイオリンがひとかたまりとなってバイオリンの音として良い具合に響いており、これはこれでウットリ。対して 24bit Fine D.R.I.V.E. の DP-SG7 は全く異なる音場を醸し出している。バイオリンは弦の音と本体共鳴音が聴き別けられ、傍らのピアノも低域から高域まで生き生きと音の粒が分離している。ボーカルに艶も感じる。レガートリンク高域補償の PD-N901 の方が音域及び音場がより広めであるものの、同系の音色と感じた。機構的な内部構造が全く同じで、唯一DA変換チップが異なると思われる DP-SE7 と DP-SG7 であるが、DA変換部の違いによる音の差は思っていた以上に大きい。

 日食騒動も終わりお盆も近づいた後日、試しに外部ディジタル光信号入力端子を有している ONKYO FR-155A へ DP-SE7 からの光出力を入力してDA変換部の差違を聴き比べてみた。 FR-155A は MDLP を手に入れたくて3コイン弱で入手、オーバーホールした物で、CD/MD/チューナー/アンプ一体型のマイクロコンポである。FR-155A 自体は分離もそこそこで音場も狭めと感じる。注目の DP-SE7 自身の音とDP-SE7/FR-155A DA変換部連結音との比較であるが、DP-SE7 と FR-155A DA変換部を連結すると、DP-SE7 が FR-155A の音になってしまうところが興味深い。

 一ヶ月後、CDが再生できたりできなかったりと云うレガートリンクの2号機、PD-N902 がワンコインでやって来て光ピックアップの不調と判明、先の試聴で物足りない再生音だった DP-SE7 から光ピックアップを再度摘出して移植する事となった。


[1]tsdoctor HOME PAGE、https://tsdoctor.web.fc2.com/dp1001.htm
[2]Philips DAC、http://www.lampizator.eu/lampizator/LINKS%20AND%20DOWNLOADS/DATAMINING/tda1547.pdf
[3]お気楽オーディオキット資料館、http://www.easyaudiokit.com/
[4]DAC63S-mini/お気楽DAC2の製作、http://yasu-audio.com/dac63s_01.html
[5]DAC(DAC63S-mini)、http://www.geocities.jp/mkttid/dac63s.html
[6]フルーエンシ情報理論、http://www.jst.go.jp/kisoken/seika/zensen/04toraichi/
[7]EMISUKEの電子工作部屋、http://www.geocities.jp/aaa84250/HAIFU_16.htm
[8]Chu Moyタイプヘッドホンアンプの製作、http://www.minor-audio.com/bibou/amp/headphone_amp2004.html
[9]Web2.0が面白いほどわかる本、小川宏・後藤康成著、中経出版、中経の文庫495
[10]Pioneer レガートリンク解説、https://jpn.pioneer/ja/carrozzeria/archives/products/highend/lineup/rs-a1x2/function_2.html
[11]レガートリンク付きCDプレーヤについての検討(その2)、https://blogs.yahoo.co.jp/kiyo19371122/29056796.html
[12]折り返し雑音とフィルタ、http://www.gem.hi-ho.ne.jp/katsu-san/audio/next_gen/alias/aliasing.html
[13]サンプリング周波数と音質、http://aok.la.coocan.jp/sample_hz.htm
[14]お手軽シリーズ1.5の巻き、http://www20.tok2.com/home/easyaudiokit/okiraku/okiraku15.html
[15]「在庫限り」の誘惑に負けるの巻き(FN1242A)、http://www20.tok2.com/home/easyaudiokit/FN1242A/FN1242A.html
[16]心理学的,及び生理学的実験による超音波音響信号の知覚に関する考察、杉本武士、筑波大学大学院博士課程システム情報工学研究科修士論文、2003
[17]AL24 Processing、https://www.denon.jp/jp/blog/3817/index.html
[18]ONKYO 技術情報VLSC、https://www.jp.onkyo.com/audiovisual/technology/
[19]ビクター K2 テクノロジー技術情報、https://www.jvcmusic.co.jp/k2technology/aboutk2/technology.html
[20]二次元アレイスピーカを使った音場の形成とそのシュミレーション、http://tamlab.yz.yamagata-u.ac.jp/STUDY/スピーカ/speaker.html
[21]「Supreme D.R.I.V.E.(仮称)」開発!、http://www.kenwood.co.jp/newsrelease/2000/press20000619.html
[22]「D.R.I.V.E. with 32fs & 22bit resolution」、http://d.hatena.ne.jp/tma1/20070105
[23]アナログーデジタル変換、橋本研也、http://www.te.chiba-u.jp/~ken/lecture/Trans-3.pdf
[24]高速化に適した周波数変調方式刄ーADC、前澤宏一、松原渉、酒向万里生、水谷孝、http://www3.u-toyama.ac.jp/maezawa/Research/IPArev2.pdf
[25]AD/DA変換器とディジタルフィルタ、山崎芳男、日本音響学会誌 46巻 3号:1990、https://www.jstage.jst.go.jp/article/jasj/46/3/46_KJ00001455904/_pdf/-char/ja
[26]デジタルとアナログの協調と共存、小林春夫、https://kobaweb.ei.st.gunma-u.ac.jp/news/pdf/koba20071016-2.pdf [27]AD/DA変換器、岩田穆、集積回路基礎 第10章、http://www.dsl.hiroshima-u.ac.jp/~iwa/text/LB10.ADC.pdf
[28]SL-P70仕様、https://audio-heritage.jp/TECHNICS/player/sl-p70.html
[29]アナログ・デジタル変換の基礎、村口正弘、マイクロ波工学2009.07.10
[30]1ビットD/A変換アレイを用いたD/A変換方式、谷泰範、信学技報、CAS94-9,VLD94-9,DSP94-31、pp.63-70
[31]ONKYO Integra C-1E解説、https://audio-heritage.jp/ONKYO/player/integrac-1ever2.html
[32]Victor XL-Z900、https://audio-heritage.jp/VICTOR/player/xl-z900.html
[33]SONY DAS-R1a、http://audio-heritage.jp/SONY-ESPRIT/etc/das-r1a.html
[34]Leica a la carte:SONY CDP-EX700、http://m3leica.blog66.fc2.com/blog-entry-556.html
[35]Sony CDP-710、https://www.hifiengine.com/manual_library/sony/cdp-710.shtml#comment-29462
[36]1ビットDACとR-2R DACの音質差 -- 名チップ PCM56、https://ameblo.jp/etsuo-okuda/entry-10479409645.html
[37]DACが16bitで何が悪い!、ステレオ時代、ネコ・パブリッシング、vol.21 pp.85-95
[38]CDの16ビットデータを20ビット化するビット拡張技術のしくみと効果[前編]、柴崎功、MJ無線と実験、誠文堂新光社、2008年8月号(第95巻 第8号 通巻1026号)、pp.84-94
[39]CDの16ビットデータを20ビット化するビット拡張技術のしくみと効果[中編]、柴崎功、MJ無線と実験、誠文堂新光社、2008年9月号(第95巻 第9号 通巻1027号)、pp.84-93
[40]CDの16ビットデータを20ビット化するビット拡張技術のしくみと効果[後編]、柴崎功、MJ無線と実験、誠文堂新光社、2008年10月号(第95巻 第10号 通巻1028号)、pp.84-92
[41]素子再生音に革命をもたらしたフルエンシーフィルター、柴崎功、MJ無線と実験、誠文堂新光社、2009年4月号(第96巻 第4号 通巻1034号)、pp.84-93
[42]ヤマハプロビット方式CDプレーヤーの詳細、柴崎功、MJ無線と実験、誠文堂新光社、1996年9月号(第83巻 第9号 通巻883号)、pp.94-101

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