SANYO DCA-250

DCA-250 アンプ
DCA-250 マイク入力&スピーカーセレクター付きアンプ

 スピーカー2系統切換(両系統同時選択有り)とマイクミキシングができるアンプが必要となり、12Vアンプと小型マイクミキサー、2系統スピーカーセレクター(両系統同時選択無し)によるシステムを組んでみたりしたが、出力が不足気味だったりスピーカーセレクターが両系統同時選択ができなかったりしてあえなく頓挫。既存品で使えそうな物が無いかと探していたところ近くのジャンク屋さんで見かけ、ガリガリと雑音が出るとの説明と8コイン故しばらく躊躇しつつ入手。その後数日間のネット調査で、どうやらスピーカー2系統切換(両系統同時選択有り)とマイクミキシングが可能な既存アンプは一般オーディオ用としては数機種しか無く、入手出来たのは奇跡的だったと判明。よくぞこの様な仕様で設計してくれたものだと感謝。当時はテープへの録音用にマイクミキシングのニーズがあったと思われる。このアンプ、マイクボリュームとメインボリュームの音量調節が独立しており、メインの音量とは無関係にマイク音量を変化させることができる。

 さて、ガリガリと雑音が出るとの説明を確認すべく、小型スピーカーといつものラインアウト付きポータブルCDプレーヤを接続、早速CDを再生。確かに左側出力無く、またバリバリガリガリと雑音が入る。それではと天板、裏板を剥がしてみると、基板表面には懐かしいワイヤラッピング配線が。40年程前であろうか、ワイヤラッピングで時計データをロール紙へ打ち出す計時プリンタシステムを作り込んだことがあった。ワイヤラッパでヒュンヒュンと線材をピンへ巻き付けていく感覚がよぎった。

内部

 ラッピング配線、ハンダ付けしていないのでひょっとしたら接触不良が発生しているかも知れないと調べるも、一見した範囲では異常なし。色々弄り回すと、どうやら雑音の原因はマイクミキシングレベルに用いられているボリューム周辺にありそう。このマイクミキシングボリュームには録音時にマイク入力信号をテープ側へ送り出すかどうかのツマミと同軸のプッシュプル切換スイッチが付いており、このスイッチの端子が汚れてガリガリと雑音を発生している模様。しかし、ツマミがボリューム軸へ固着しており、工具を使っても外れない。ボリュームを壊す恐れもあり、なんとかボリュームを外す事なくスイッチの接点腐食を改善出来ないかと試すも、狭すぎて手を入れられない。切換スイッチカバーを無理矢理開けたり閉めたりしている内に、ついにはカバーを損傷、悲惨な事態に。で、切換スイッチ部分をボリュームから分離し通常スイッチポジションで結線をジャンパー、このまま切換スイッチを分離した状態だとボリュームツマミ軸が抜けてしまうので、ワッシャーを加工したストッパーリングを作り込みなんとかボリューム機能を残してフロントパネルからは違和感ない状態とした。これで通常使用には雑音もなく、正常左右出力となっている。この切換スイッチ付きボリューム、その後の調査で帝国通信工業(NOBLE)の31mm径B型10KΩと判明したが、ハンダ付け配線向けの物はなかなか出回っておらず、ボリューム部16mm径で切替スイッチ部分が同じタイプは入手済、しかし、つまみが外せない事態なのでこのままとしている。

内部

 DCA-250を弄ることになり、当時のOTTO製品の思想の一端を垣間見た気がしている。他社ではほとんど見かけないスピーカー2系統切換(両系統同時選択有り)とマイクミキシングが同居しているアンプ、ほとんど手作り的なプロセスで作られたのは時代背景としても、ワイヤラッピングによる配線には驚いた次第。当時の米国製測定器で部分的にそうした配線方法が用いられていたのは見かけたが、それにしても民生器のオーディオである。同社の当時の製品群に興味が湧いてきた次第。


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