CDP-770


CDP-770
SONY CDP-770

 PCM56P搭載機 CDP-710 と TDA1541搭載機 CDP-750 比較試聴を繰り返していたが、前掲35年物 CDP-710 がCD-Rを読み込まずピックアップサーボ系を調整するもCDを認識できない事態となった。(後日KSS-150Aピックアップ本体側レーザー光出力調整用ボリューム調整で復帰)そうした中、もう少しPCM56PによるD/A変換を味わいたいと、PCM56P搭載2号機として「通電のみの確認となりますのでジャンク扱い」たる CDP-770 が2コインでやって来た。

 内部を見るとこれまで遭遇した事がないほど綺麗で、CDトレーは開閉しなかったもののベルト交換で無事動作。ケース清掃は後回しにして早速の試聴となったが、CDを挿入してクランプされると回転と同期してどこかで擦っている音が。音の発生源を探すと、CD回転スピンドルへCDをクランプする上側プレスプーリーがホルダーと僅かに接触する事が判明。プラスチック製ホルダーの変形かピックアップメカ全体の微妙な下がり加減が原因と考えられ、確かにホルダーのプーリー付近を指で押すと擦れ音は無くなる。CDプレーヤーはピックアップで読み込んだ先読みデータをバッファリング補正しているとの事で、少々の回転むらは補償回路が機能し駄耳には判らない。さてどうしたものかとしばし思案、結果、ホルダー上の10mm厚木製ブロックで天蓋取付時に1mm程度ホルダーを押し下げる事を狙って試した所、擦れ音は無くなった次第。

ホルダー変形矯正ブロック
ホルダー変形矯正ブロック

 さて試聴である。前掲 CDP-710 同様、「名チップ PCM56:バーブラウン PCM56 の音質はまろやかでしっとりとした感じ」との評に違わない高域の繊細な粒立ち、低域のほどよい分離、加えてスケール感は変わらず、JAZZボーカルは他機に任せてここは大小ホールサイズを問わずにバイオリンや大編成曲が心地よい。

 このCDP、ヘッドフォン音量調整とライン出力レベルが連動(可変ライン出力)しており、アンプ側がリモコン非対応の場合CDP側リモコンで音量調節が可能となっている。欧米向けモデルのサービスマニュアルによると、リモコンにはヘッドフォン音量調整ボタンが無くライン出力は固定のみとなっており、国内向けと輸出向けでは仕様が異なっている。


悦楽の思い

 古くて経年変化した機材と格闘していると、一応機能する所まで整備した後は長時間通電・再生しておく事で音質が初期状態に戻るのではないかと感じている。大きな要因としてはコンデンサーの経年変化である。内部の組成変化や容量変化が長時間の再生通電により戻るのではないかとの観点。場合によっては1週間、リピート再生での連続通電により音質が大幅に変化、心地よい再生音に至ると体感している。


[1]tsdoctor HOME PAGE、https://tsdoctor.web.fc2.com/dp1001.htm
[2]Philips DAC、http://www.lampizator.eu/lampizator/LINKS%20AND%20DOWNLOADS/DATAMINING/tda1547.pdf
[3]お気楽オーディオキット資料館、http://www.easyaudiokit.com/
[4]DAC63S-mini/お気楽DAC2の製作、http://yasu-audio.com/dac63s_01.html
[5]DAC(DAC63S-mini)、http://www.geocities.jp/mkttid/dac63s.html
[6]フルーエンシ情報理論、http://www.jst.go.jp/kisoken/seika/zensen/04toraichi/
[7]EMISUKEの電子工作部屋、http://www.geocities.jp/aaa84250/HAIFU_16.htm
[8]Chu Moyタイプヘッドホンアンプの製作、http://www.minor-audio.com/bibou/amp/headphone_amp2004.html
[9]Web2.0が面白いほどわかる本、小川宏・後藤康成著、中経出版、中経の文庫495
[10]Pioneer レガートリンク解説、https://jpn.pioneer/ja/carrozzeria/archives/products/highend/lineup/rs-a1x2/function_2.html
[11]レガートリンク付きCDプレーヤについての検討(その2)、https://blogs.yahoo.co.jp/kiyo19371122/29056796.html
[12]折り返し雑音とフィルタ、http://www.gem.hi-ho.ne.jp/katsu-san/audio/next_gen/alias/aliasing.html
[13]サンプリング周波数と音質、http://aok.la.coocan.jp/sample_hz.htm
[14]お手軽シリーズ1.5の巻き、http://www20.tok2.com/home/easyaudiokit/okiraku/okiraku15.html
[15]「在庫限り」の誘惑に負けるの巻き(FN1242A)、http://www20.tok2.com/home/easyaudiokit/FN1242A/FN1242A.html
[16]心理学的,及び生理学的実験による超音波音響信号の知覚に関する考察、杉本武士、筑波大学大学院博士課程システム情報工学研究科修士論文、2003
[17]AL24 Processing、https://www.denon.jp/jp/blog/3817/index.html
[18]ONKYO 技術情報VLSC、https://www.jp.onkyo.com/audiovisual/technology/
[19]ビクター K2 テクノロジー技術情報、https://www.jvcmusic.co.jp/k2technology/aboutk2/technology.html
[20]二次元アレイスピーカを使った音場の形成とそのシュミレーション、http://tamlab.yz.yamagata-u.ac.jp/STUDY/スピーカ/speaker.html
[21]「Supreme D.R.I.V.E.(仮称)」開発!、http://www.kenwood.co.jp/newsrelease/2000/press20000619.html
[22]「D.R.I.V.E. with 32fs & 22bit resolution」、http://d.hatena.ne.jp/tma1/20070105
[23]アナログーデジタル変換、橋本研也、http://www.te.chiba-u.jp/~ken/lecture/Trans-3.pdf
[24]高速化に適した周波数変調方式刄ーADC、前澤宏一、松原渉、酒向万里生、水谷孝、http://www3.u-toyama.ac.jp/maezawa/Research/IPArev2.pdf
[25]AD/DA変換器とディジタルフィルタ、山崎芳男、日本音響学会誌 46巻 3号:1990、https://www.jstage.jst.go.jp/article/jasj/46/3/46_KJ00001455904/_pdf/-char/ja
[26]デジタルとアナログの協調と共存、小林春夫、https://kobaweb.ei.st.gunma-u.ac.jp/news/pdf/koba20071016-2.pdf [27]AD/DA変換器、岩田穆、集積回路基礎 第10章、http://www.dsl.hiroshima-u.ac.jp/~iwa/text/LB10.ADC.pdf
[28]SL-P70仕様、https://audio-heritage.jp/TECHNICS/player/sl-p70.html
[29]アナログ・デジタル変換の基礎、村口正弘、マイクロ波工学2009.07.10
[30]1ビットD/A変換アレイを用いたD/A変換方式、谷泰範、信学技報、CAS94-9,VLD94-9,DSP94-31、pp.63-70
[31]ONKYO Integra C-1E解説、https://audio-heritage.jp/ONKYO/player/integrac-1ever2.html
[32]Victor XL-Z900、https://audio-heritage.jp/VICTOR/player/xl-z900.html
[33]SONY DAS-R1a、http://audio-heritage.jp/SONY-ESPRIT/etc/das-r1a.html
[34]Leica a la carte:SONY CDP-EX700、http://m3leica.blog66.fc2.com/blog-entry-556.html
[35]Sony CDP-710、https://www.hifiengine.com/manual_library/sony/cdp-710.shtml#comment-29462
[36]1ビットDACとR-2R DACの音質差 -- 名チップ PCM56、https://ameblo.jp/etsuo-okuda/entry-10479409645.html
[37]DACが16bitで何が悪い!、ステレオ時代、ネコ・パブリッシング、vol.21 pp.85-95
[38]CDの16ビットデータを20ビット化するビット拡張技術のしくみと効果[前編]、柴崎功、MJ無線と実験、誠文堂新光社、2008年8月号(第95巻 第8号 通巻1026号)、pp.84-94
[39]CDの16ビットデータを20ビット化するビット拡張技術のしくみと効果[中編]、柴崎功、MJ無線と実験、誠文堂新光社、2008年9月号(第95巻 第9号 通巻1027号)、pp.84-93
[40]CDの16ビットデータを20ビット化するビット拡張技術のしくみと効果[後編]、柴崎功、MJ無線と実験、誠文堂新光社、2008年10月号(第95巻 第10号 通巻1028号)、pp.84-92
[41]素子再生音に革命をもたらしたフルエンシーフィルター、柴崎功、MJ無線と実験、誠文堂新光社、2009年4月号(第96巻 第4号 通巻1034号)、pp.84-93
[42]ヤマハプロビット方式CDプレーヤーの詳細、柴崎功、MJ無線と実験、誠文堂新光社、1996年9月号(第83巻 第9号 通巻883号)、pp.94-101

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