A-N901


A-N901
PIONEER A-N901

 常用A-N702であるが、周期的にジジジと電源周りから異音が。色々調べた所、どうやら安物電気毛布のトライアックと思われる温度制御コントローラがACラインにパルス性ノイズをまき散らしている模様。電源フィルタを数種試したが電源周波数近傍のノイズには利きが弱く、春先を待つしかない状態。しばし悶々としていたが、三十数年ぶりに、しまい込んであるレコードを出してみようかとレコードプレーヤの物色も始めた事でもあるので、PHONO入力端子のあるA-N901かA-N902を導入する事となった。金環日食の翌年の冬真っ盛り、音が歪むというA-N902が2コイン、そして音が出ないというA-N901が4コインでやって来た。

Parts Layout of A-N901
A-N901 内部部品配置

Parts Layout of A-N701
A-N701 内部部品配置

 A-N901であるが、A-701のPHONO入力モデルで、内部部品配置は当然A-N701と同等、ただしA-N701では穴だらけだったドーターボードにフォノイコライザたるRIAA補償のフィルタ系部品が余分に付いている。そして、なにやら電源トランスがそれらしく着色してあり、高感を醸し出しているではないですか。更に謎のヒートシンク端銅製ネジ止めは、アース線留め用のネジと判明。ただし、未使用の反対側の場所にもなぜネジがあるのかは未だに不明である。

 このA-N901、音が出ないと云う事なので焦げたり液漏れしている部品はないかと探すと、DC電源系統のヒューズが飛んでいる事に気づいた次第。

Bown Fuse
A-N901 溶断ヒューズ

 使用されていたのは速断ヒューズと思われたが同等電流容量の通常品と交換し、他に故障箇所があればバチッと来ると怖々電源再投入。異臭も無さそうなので数ミリ積もっていた綿埃をブロアで飛ばし、外部ゴシゴシ清掃後ついでに終段のアイドリング電流を調整すべく終段付近を見てみると、更にA-N702、A-N902との違いが。A-N901には基板上にアイドリング電流調整時専用と思われるスイッチが有るが、電源周りが簡素化されているA-N702やA-N902にはそのスイッチがない。アイドリング電流調整用回路周りも簡素化されている模様。このスイッチ、オープンとショートと云う印刷が見える。アイドリング電流をテスターで電圧値として読み取るべく終段回路に抵抗を入れてあるが、アイドリング電流を調整した(電流を電圧として読み取った)後はこの抵抗そのものは動作時の誤差要因となるのでショートしておくものと見た。他に例のない凝った仕組みである。初号機A-N701やA-N901に開発陣の並々ならぬ意気込みを感じた次第。

 試運転がてらにCD数枚を試聴すると、これまでのA-N702と変わらぬ濁り感の無い高域とブースト気味の低域。全体的にこれまで常用A-N702よりは以前のA-701の趣で若干しっとり気味かとも思われる。PHONO入力モデルのである事も有り、まずは入れ替え。

 ジジジと電源周りから異音がしているこれまで常用A-N702、出力リレー周りからの異音と思っていたが、内部を見ると予想に反して電源トランス内部が響いている。これはトランス内部の塗装片か部品が欠損、トライアック電力調節の煽りを喰らって磁束変動に共振している可能性が疑われる。このA-N702、トランス交換するくらいならと、音が歪んでいるA-N902の修理挑戦へ向けての部品取り機とする予定。


[1]PIONNER A-N701、オーディオ解体新書、http://www.kameson.com/audio/A-N701.htm
[2]HEXFET アプリケーションノート AN-937(英文、構造図参照)、International Rectifier、http://www.irf.com/technical-info/appnotes/an-937.pdf

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