A-N701


PD-N901
PIONEER A-N701(ミニコンポ FILL)

 レガートリンクCDプレーヤを入手すべく探していて値頃感のある PIONEER FILL 全セットが我が家にやってきた。セットのCDプレーヤ PD-N901 については別掲を参照願うとして、一緒にやって来たのが A-N701 アンプである。

 パネルには Direct Energy MOS の誇らしげなプリント文字が。なにやら心惹かれ、ちょっと試聴のつもりでそれまで使用していた TA-2020-020 ディジタルアンプと入れ換え、定番の Everything Must Change のJAZZボーカルCDと常用リファレンスバイオリン曲CDを鳴らしてみた。

 D級アンプ TA2020-020 の高級アンプ然とした豊かで率直な音場に慣れた耳には、弦楽器やボーカルの心掻き毟る様な情感を伴う音が強くしみ込んでくる。さほど期待していた訳でもなく、唐突に懐深く入り込んで来た感がある。他の方々の試聴ではさほど悪くない[1]との評も見受けられるが、過渡応答にこだわったスピーカーLM-011との相性が良いのか、我が駄耳にはこの上なく抜けの良い響きがする。

 さて、パネル面の Direct Energy MOS であるがIR社のHEXFETの事を指しているらしく、代理店によれば[2]MOS FETのチップ構造が6角形(HEX)の組み合わせで設計されていて、オン抵抗を65%以上低減すると共に、アバランシェ耐量とボディダイオード特性の向上、そしてゲートチャージを低減している素子との事。HEX状に並べる事に拠ると思われるオン抵抗の65%以上低減は、スイッチング特性が良くなる事を意味し実際DC-DCコンバーターのスイッチング素子等への利用を想定している様である。推察するに、アンプの最終増幅段に使用した場合には応答性の向上と素子起因の寄生雑音の低減を期待出来るものと思われる。パイオニアの設計陣はこのHEXFETを目にした時、IR社推奨応用分野としてのスイッチング素子よりはアンプ最終段としての素性を見抜いていたのかも知れない。試聴感でも、抜けの良さが際立っている様に感じられる。

 過渡応答にこだわったスピーカーLM-011との相性のせいか、このアンプで聴くと定番の Everything Must Change のJAZZボーカルCDと常用リファレンスバイオリン曲CDがより心に響く。即刻 TA2020-020 D級アンプと入れ換えることになった次第。


[1]PIONNER A-N701、オーディオ解体新書、http://kameson.net/audio/A-N701.htm
[2]HEXFET アプリケーションノート AN-937(英文、構造図参照)、International Rectifier、http://www.irf.com/technical-info/appnotes/an-937.pdf

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