A-D1


A-D1
PIONEER A-D1

 前掲 SONY TA-F500 でどっしりとした懐の深い芳醇な響きにフルサイズ機の力量を知り、にわかに HEX-MOSFET のフルサイズ機はどんな音を奏でるのだろうかとの思いに至った。回路的には前掲 A-N901 や A-N902 と同等と思われるが電源トランスが大きなフルサイズ機 PIONEER A-D1 が4コインでやって来た。A-D1シリーズは入力切り替がロジックICで、このIC自体が故障すると市場在庫がほとんど無いらしいとの情報であったが、カバー部凹みハンマー矯正後の通電で各所に異常は無かった。

 ゴシゴシ清掃後にいざ試聴。キャッチコピーの「ワイドレンジリニアサーキット」を彷彿とさせ高域にクリアーな伸びを感じるが、低域はドライブ感が無く前掲 A-N901 や A-N902 に比しても平坦で何ら曲想が響いてこない。二十数年前発売の事もあり、全体に劣化しているのかも知れないと気を取り直し、最近おまじないの如くに試している長期通電復調を試みる事となった。連続通電1週間、さてどうなったかと再試聴すると平坦な印象は薄れ、ワイドレンジでクリアな印象。特に高域の応答が良くとても濁り無くスッキリクリア。低域はもう少しメリハリと押し出しが欲しい印象となった。もう少し個々の楽器の個性を聴きたくなる。


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