6V6GTシングル アンプ

6V6GTシングル アンプ
6V6GTシングル アンプ

 真空管アンプ自作熱が上がり始めてストックしている真空管が使えるアンプ回路を物色中の2006年5月、通巻1000号目前の「無線と実験」誌5月号に藤本伸一氏による「6V6GTシングルパワーアンプ」製作記事[7]が掲載された。6V6GTはストック品の真空管でも有る事だし、アウトプットトランスも以前完売寸前の真空管CDプレーヤキットを購入した経緯のあるノグチトランス製だしと言う事で、回路の解析や情報収集、部品集めを開始。昨今の団塊世代の真空管アンプ熱の高まりの余波か、はたまたギターアンプ用として真空管アンプが根強い人気を保っているせいか、真空管アンプ用部品を取り扱う店が少なからず地道な商売をしている事に驚いた次第。

 一年かけて少しずつほとんどの部品を通販で購入し、やっと一通りの部品が揃った2007年6月、いよいよ製作開始。アルミシャシー穴開け、シャシー塗装(プラサフ下塗り後、銀塗装二回塗り)、各部品の取り付け、抵抗やコンデンサの半田付け、各ポイントの配線と一ヶ月かけてやっと組み付け配線完了。今回は側板も奢り、シャシー銀色とのコントラストを考えて、濃いめのニス二回塗りした物を組み付けた。裏面のスピーカー端子はクリップ式とした。

 早速発煙しないか恐る恐る電源を投入し、球各部の電圧を測定。いずれも10%程度高めであったが、問題なし。その後ウキウキしながらDIG-IIを接続し、入力として最近入手したKENWOODの「DP-1001」というCDプレーヤを接続。このDP-1001は、DAC7搭載として話題の物で、入手後の音出しは初めて。「DAC7」は、PHILIPSの1bitディジタル・アナログ変換チップの名称で、どんな音がするか期待している。JAZZのCDを再生してみると、低域に力強さがみなぎっているのが判るが、予想よりハム音が大きい。ボリュームを回すと、位置によってこのハム音が変化する。これは初段入力にハム誘導ありと色々検討開始。結局、各真空管用ヒーター電源6.3Vの片側をアースに落としていなかった事が敗因で、後は入力シールド線の片端解放(RCAピン入力側)をしていなかったのが追い打ちをかけていた。ハム退治後は、高能率DIG-IIへ耳を付けてやっとほんの少しの残留ノイズが感じられる程度、DIG-IIから離れるともう雑音は聞こえない。このアンプ、なかなか優秀。あとはエージングでどの様な音を奏でてくれるのか、楽しみである。
 その後数ヶ月間毎夜JAZZを流した感じでは、DIG-IIの低域不足をカバーするが如く量感たっぷりの低域から高域までバランスの良いクリアーな音を聴かせてくれている。ただ右側にハム音が増え始め、前回の回路面ハム退治以外の原因を検討、左側ハム音が微少である事などから初段6SL7管を交換。今度は左右とも殆ど無音状態に改善した。それにしても別掲FA-40の時と云い、初段の球は鬼門である。


[1]オーディオ回路、斉藤醇爾、誠文堂新光社、無線と実験シリーズ
[2]決定版真空管アンプ設計自由自在、長真弓、誠文堂新光社
[3]真空管70年の歩み、John W. Stokes、斎藤一郎訳、誠文堂新光社
[4]情熱の真空管アンプ、木村哲、日本実業出版社
[5]真空管アンプ・スピーカー作りに挑戦、技術評論社、男の自由時間
[6]真空管ラジオ・アンプ作りに挑戦、技術評論社、男の自由時間
[7]6V6GTシングルパワーアンプ、藤本伸一、無線と実験 2006年5月号(通巻999号)pp.38-45.
[8]A TASTE OF TUBES, SONIC FRONTIERS INC.
[9]An Introduction to R, W.N. Venables, D.M. Smith and the R Development Core Team.
[10]Spice3f5マニュアル、Ayumi's Lab
[11]電脳時代の真空管アンプ設計、中林歩
[12]LTSpice/SwCAD III、LINEAR TECHNOLOGY、http://www.linear-tech.co.jp/designtools/software/switchercad.jsp
[13]LTspiceによるシミュレーション、中村 利男、http://ntoshio.la.coocan.jp/rakuen/spice/index.htm
[14]LTSpice/SwCADVを使う、Kimio kosaka、https://make.kosakalab.com/ltspice/

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